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清少納言と定子は百合?関係やエピソードを紹介!【光る君へ】

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今回は、清少納言と定子は百合?関係やエピソードを紹介!【光る君へ】と題してお届けします。

2024年に放送予定の吉高由里子さん主演の大河ドラマ『光る君へ』

主人公・紫式部のライバルとされていた清少納言をファーストサマーウイカさん、清少納言が仕えていた藤原定子さだこを高畑充希さんが演じられます!

清少納言が記した『枕草子』は定子への称賛で溢れていますが、2人はどのような関係だったのでしょうか?

本記事では、清少納言と定子は百合?関係やエピソードを紹介!【光る君へ】と題して詳しくご紹介していきます。

こんな方にオススメ!
  • 「2人が百合(女性同士の恋愛関係)って聞いたことあるけど、本当?実際どうなの?」と気になった方
  • 「そもそも、どういう関係なの?」と前提から知りたい方
ねこ先輩
ねこ先輩
エピソードをもとに、2人の本当の関係を探っていくよ

ぜひ、最後までお付き合いください(*^^*)

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清少納言と定子は百合?【光る君へ】

結論→おそらく百合ではないが、主従関係を超えた絆があったのでは?

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大河ドラマ『光る君へ』で、高畑充希さん演じる定子と、ファーストサマーウイカさん演じる清少納言。

清少納言が『枕草子』で定子を絶賛していることから、「2人は百合(女性同士の恋愛関係)では?」という想像をされている方もいらっしゃいます。

 

実際に、『姫のためなら死ねる』という清少納言と定子を百合っぽく描いたマンガもあるのです!

ねこ先輩
ねこ先輩
講談社の学習まんがにも、出会った時に「わたくしは定子さまに恋をした」って書かれてるよ♡

 

実際にどうだったのかは分かりませんが、定子は一条天皇の最愛の妻であり超ラブラブだったので、清少納言とそのような関係ではなかったと思います。

しかし、「主従関係を超えた絆があったのでは?」と思わせられるようなエピソードがありましたので、次章で詳しくご紹介していきます!

ねこ先輩
ねこ先輩
百合ではないんだろうけど、2人ともお互いを信頼して好きだったのは間違いないと思う!
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清少納言と定子の関係やエピソードを紹介!【光る君へ】

大河ドラマ『光る君へ』に登場する清少納言(ファーストサマーウイカ)と定子(高畑充希)について、

  • 2人の関係
  • 百合っぽいエピソード

をご紹介していきます!

「そもそも、どういう関係?」という前提から知りたい方にも、参考にしていただければ幸いです(*^^*)

 

2人の関係

定子と清少納言の関係図

2人の関係→主従関係

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定子は一条天皇の妻であり、謂わば「お姫さま」。

清少納言は定子の「女房」として仕えていました。

【女房とは?】

宮中や貴族に仕えた女性のことで、主人の身の回りのお世話や教育をした。

 

つまり、「お姫さまとお世話係」という関係だったわけです!

ねこ先輩
ねこ先輩
家庭教師も兼ねてるお世話係って感じかな

 

当時は男性が女性のもとに通う「通い婚」だったので、おそらく定子の1番近くにいたのは女房たちでしょう。

ねこ先輩
ねこ先輩
女房は何人かいるんだよ

そんな近くにいた女房たちの中でも、定子は清少納言が特にお気に入りだったようです♡

 

定子には一条天皇という素敵な旦那さまがいたので、清少納言と恋愛関係ではないはずです。

それでも近くにいてくれて信頼できる良き理解者だったのではないかと思われます(*^^*)

 

逆に清少納言は『枕草子』で定子を絶賛しているため、「うちのお姫さま最高!」と思っていたのかもしれませんね♪

 

なお、

  • 定子→977年生まれ
  • 清少納言→966年ごろの生まれ

であるため、2人は大体11歳差でした。

10歳以上年下のお姫さまを絶賛するなんて、定子はよっぽど素敵な方だったのでしょうね♡

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百合っぽいエピソード

定子と清少納言は主従関係であり、定子には夫がいたため、百合ではないと思われます。

しかし百合っぽいエピソードがいくつかありますので、ご紹介していきます!

お互いのことを理解し、大切に思っている素敵なエピソードばかりですよ♡

 

①可愛く拗ねる

定子が清少納言の自分への気持ちを確かめ、可愛く拗ねたというエピソードがあります♡

定子「私が大切か?」

清少納言「もちろんです!」

その時、別の誰かがクシャミをした

定子「まぁ、嘘だったのね。もういいわ」

ねこ先輩
ねこ先輩
当時、クシャミは嘘の証とされていたんだって!


その後、定子から「あなたが私のことを本当に大切に思っているかを、どうすれば知ることができるだろうか」という和歌が届く

清少納言は「クシャミで誤解を与えているのが残念です」という和歌を返す

超訳:定子「私のこと好き〜?」

清少納言「もちろんです!!」

?「ハックション!!」

定子「まぁ嘘なのね、もういいわ(( ̄ ^  ̄ )プィッ」

清少納言「そんな・・・誤解です〜(><)」

原文と詳しい意味

物など仰せられて、

「我をば思ふや」

と問はせたまふ。

御答へに、

「いかがは」

と啓するにあはせて、台盤所の方に、鼻をいと高うひたれば、

「あな心憂。そら言を言ふなりけり。よしよし」

とて、奥へ入らせたまひぬ。

いかでか虚言にはあらむ、よろしうだに思ひ聞えさすべき事かは、あさましう、鼻こそ虚言はしけれ、と思ふ

さても、誰か、かくにくきわざはしつらむ、おほかた心づきなしと覚ゆれば、さる折も、おしひしぎつつあるものを、まいていみじうにくしと思へど、まだうひうひしければ、ともかくもえ啓し返さで、明けぬれば下りたるすなはち、浅緑あさみどりなる薄様うすように、えんなる文を

「これ」

とて来たる、開けて見れば、

「『いかにして いかに知らまし 偽りを 空にただすの 神なかりせば』となむ、御けしきは」

とあるに、めでたくも口をしうも思ひ乱るるにも、なほ昨夜よべの人ぞ、ねたく、にくままほしき。

「『薄さ濃さ それにもよらぬ はなゆゑに 憂き身の程を 見るぞわびしき』なほ、こればかり啓し直させ給へ。式の神もおのづから。いと畏しかしこし

とて、参らせて後にも、うたて折しも、などてさはありけむと、いと嘆かし。

 

【意味】

何かの話をしたついでに、中宮さま(定子)が

定子「私を大切に思うか」

とお聞きになった。

清少納言「どうしてそう思わないことがございましょう」

と返事したと同時に、台所の方で誰かが大きな音でクシャミをした。

定子さまは

定子「まあ、嫌だ、嘘を言ったのですね。もういいわ」

とおっしゃって、奥に入ってしまった。

どうして嘘であろうか、こんなに強くお思いしているのに。

クシャミの方こそ嘘だったのにと思った。

それにしても、誰がこんな憎たらしいことをしたのだろう。

クシャミが出そうな時は静かにするものなのに、あんな大きな音でするなんて憎らしいのだが、まだ宮仕えを始めたばかりなので言い返すこともできない。

自室に下がると、薄緑色のキレイな手紙を

使いの者「これ」

と、使いから渡されたので開けてみると、

「『あなたが私のことを本当に大切思っているかを、どうすれば知ることができるだろうか。

糺の神(真実と嘘を見分ける神)がいなかったら、どうすればあなたの心が分かるの?』とおっしゃっている様子です」

と書かれていた。

和歌を頂いたのは嬉しいことだが、自分が情けなくて気持ちが乱れるし、やっぱり昨夜クシャミをした人が憎たらしい。

「『薄い濃いは関係ない「はな(花・鼻)」のせいで、辛い思いをするのは苦しいです』

この歌だけはお伝え下さい。式の神(行や善行を見定める鬼神)も見てくれるでしょう。嘘をつくなど畏れ多いことです」

と書いて返事を出した後も、どうしてあの人はクシャミなんてしたのだろうと、とても嘆かわしい。

【定子が贈った和歌】

「いかにして いかに知らまし 偽りを 空にただすの 神なかりせば」

超訳:あなたが私のことを本当に大切思っているか、どうやって知ればいいの?(○`х´○)

糺の神(真実と嘘を見分ける神)がいないなら、どうやってあなたの心が分かるの?

 

【清少納言が返した和歌】

「薄さ濃さ それにもよらぬ はなゆゑに 憂き身の程を 見るぞわびしき」

超訳:薄い濃いとは関係ない「はな(花・鼻)」のせいで、めっちゃ辛いです(><)

ねこ先輩
ねこ先輩
「花」は「鼻(クシャミ)」とかかってるんだよ

 

まず自分のことが大切かと聞くのがめちゃくちゃ可愛いですよね♡

ねこ先輩
ねこ先輩
彼氏に「ねーねー私のこと好き〜?」って聞いてるみたい(笑)

清少納言がクシャミをしたわけではないと分かっていると思うので、清少納言の言葉が嘘でないと知りながら、もてあそぶかのように拗ねてみせるのも可愛いです(笑)

 

それに対し、清少納言も「あのクシャミめ」と原文では何回も何回も憎んでいるのが面白すぎました(笑)

 

②1番好きな相手には、1番に愛されようとしないとダメ

またもや定子が清少納言の気持ちを確かめるようなエピソードです♡

定子が「あなたのことを愛しましょうか?止めましょうか?1番じゃなかったらどう?」と書いた紙を清少納言に寄越す

清少納言は以前、「1番でないなら憎まれる方がマシ。2位や3位なんて絶対嫌」と言っていた

清少納言「定子さまに思ってもらえるなら、底辺でも構いません!」

定子「全然良くないわ!1番好きな人には、1番愛されようとしないとダメよ

超訳:定子「私があなたのこと『1番じゃない』って言ったらどう思う?」

清少納言「定子さまに思ってもらえるなら、最下位でもOKです!!」

定子「何言ってるのよ!あなたは私が1番好きなんでしょ?1番好きな相手には、1番に愛されようとしないとダメじゃない!」

原文と詳しい意味

御方々、君たち、上人など、御前に人のいと多く侍へば、ひさしの柱に寄りかかりて、女房と物語などしてゐたるに、ものを投げ給はせたる、開けて見たれば、

「思ふべしや、いなや。人、第一ならずはいかに。」

と書かせ給へり。

御前にて物語などするついでにも、

「すべて、人に一に思はれずは、何にかはせむ。ただいみじう、なかなかにくまれ、あしうせられてあらむ。二、三にては、死ぬともあらじ。一にてを、あらむ。」

など言へば、

「一乗の法ななり。」

など、人々も笑ふ事のすぢなめり。

筆、紙など給はせたれば、

九品蓮台くほんれんだいの間には、下品げぼんといふとも。」

など、書きて参らせたれば、

「むげに思ひくんじにけり。いとわろし。言ひとぢめつる事は、さてこそあらめ。」

と、のたまはす。

「それは、人に従ひてこそ。」

と申せば、

「そがわろきぞかし、第一の人に、また一に思はれむとこそ思はめ。」

と仰せらるる、いとをかし。

 

【意味】

定子さまの身内や上流貴族の息子、殿上人などが多くいらっしゃったため、柱に寄りかかって女房たちと話をしていた。

そこに、定子さまが何か物を投げてくださったので開けてみると、

定子「あなたのことを愛しましょうか?止めましょうか?1番じゃなかったらどう?」

と書かれていた。

以前定子さまの前で雑談をした時、

清少納言「相手から1番に愛されなかったら何になろうか。どうしようもない。

それならば、酷く憎まれて扱われたほうがマシ。2番・3番なんて死んでも嫌。1番でいたい」

と言っていたら、

「まるで一乗の法(極楽浄土に行く唯一の乗り物のこと)のようね」

と、女房たちも笑ったことがあった。

定子さまがおっしゃっているのは、その話の繋がりでしょう。

定子さまが筆と紙をくださったので、

「九品蓮台(極楽浄土に行く時、連れていってくれるはすの台)に入れるのであれば、下品(悪行をした人が極楽浄土に行く時の行き方。9つあるパターンの底辺3つを指す)でも構いません」

と書いて渡したところ、

定子「ひどく弱気なのね。良くないわ。言い切ったことはそのまま貫くべきよ」

とおっしゃった。

私は

清少納言「それは相手によって変わります」

と言うと、

定子「それが良くないのよ。1番の人に、1番に愛されようと思うべきよ」

とおっしゃったのが、とっても素敵。

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絶対に清少納言が1番なのに、「1番じゃなかったらどう?」と言う定子が可愛すぎますね♡

原文で「2番・3番なんて死んでも嫌」と言っていた清少納言が「底辺でもいいです!」と答えちゃうのもさすがです(笑)

 

「1番好きな人には、1番愛されようとする」というのは、定子自身が実行していたことなのかもしれませんね(*^^*)

 

③貴重な紙をあげる

清少納言が残した随筆(エッセイ)『枕草子』は、定子がくれた紙のおかげで出来上がったんです!

定子の兄・伊周これちか(三浦翔平)が、定子に当時貴重だった紙をあげる

定子「これに何を書けばいいかしら?」

清少納言「枕でございましょう」(下記で解説)

定子「それなら、あなたにあげましょう

後に、この紙に書いたものが『枕草子』と言われている!

超訳:定子「貴重な紙をあなたにあげるわ」

後に、これが『枕草子』に!!

ねこ先輩
ねこ先輩
清少納言が歴史に名を残す偉人になれたのは、定子のおかげでもあったんだね!
原文と詳しい意味

宮の御前に、内の大臣の奉り給へりけるを、

「これに何を書かまし、上の御前には、『史記』といふ文をなむ書かせ給へる。」

などのたまはせしを、

「枕にこそは侍らめ。」

と申ししかば、

「さは、得てよ。」

とて賜はせたりしを、あやしきを、こよや何やと、つきせず多かる紙を書きつくさむとせしに、いとものおぼえぬことぞ多かるや。

 

【意味】

内大臣(定子の兄・伊周のこと)が定子さまに献上された紙について、

定子「これに何を書こうかしら。天皇(定子の夫・一条天皇)は、『史記(中国の最初の歴史書)』という書物を書き写していらっしゃるわ」

とおっしゃったので、

清少納言「枕でございましょう」

と申し上げたら、

定子「それでは、あなたにあげましょう」

とおっしゃって私にくださったけど、つまらないことやアレコレをたくさんの紙に書き尽くしたので、よく分からないことが多くなってしまったわ。

【「枕」の意味】

清少納言が言った「枕」の意味には諸説あり、

  • 歌枕(和歌を集めた書)
  • 枕頭書ちんとうしょ(いつも枕元に置いておく備忘録)
  • 枕中書ちんちゅうき(宮仕えの手引き書)
  • 一条天皇が書いている『史記』に「敷き」(寝床に敷く布のこと)をかけた説

がある。

ねこ先輩
ねこ先輩
天皇が「敷き」なら、天皇の妻・定子は「枕」って感じで、かけたのかな?

清少納言が『枕草子』のタイトルを定めていないので、このやり取りから『枕草子』というタイトルになったと言われている。

 

当時貴重だった紙を、一介の女房に全部あげてしまうなんて、定子が清少納言を贔屓(笑)していたことが分かるエピソードですね!

この紙に『枕草子』を書いたことにより、清少納言は歴史に名を残す偉人になったので、いま清少納言が語り継がれているのは定子のおかげでもあるんですね♡

 

④常に近くに

定子が「清少納言がいない」と探したエピソードです♡

定子が二条宮(実家)に行く時

女房が牛車(乗り物)に乗るために「私が先、私が先」と騒いでいた

清少納言「牛車がなくなって二条宮に行けなかったら、定子さまが車を寄越してくださるでしょう」と言って待っていた

先に到着した定子「清少納言を呼んで」

他の女房「清少納言いない!どこだどこだ」

定子「おかしいわ。どうしていないのかしら」

遅れて清少納言参上!

定子「どうしてこんなに『いないの?』『いないの?』と尋ね歩くほど姿を見せなかったの?」

清少納言と一緒に乗ってきた人「最後の牛車に乗ってきたのです」

定子「牛車の担当が悪いのね。苦情を言えばよかったのに」

超訳:定子「どうして清少納言がいないの?どこ?どこ?」

清少納言「遅くなっても、定子さまが車を寄越してくれるっしょ♪」

清少納言遅れて登場

定子「スタッフが悪いわ!苦情を言いなさい!」

原文と詳しい意味

出でさせ給ひし夜、車の次第もなく、まづ、まづと、乗り騒ぐがにくければ、さるべき人と、なほ、この車に乗るさまのいと騒がしう、祭の帰さなどのやうに倒れぬべくまどふさまの、いと見苦しきに、

「たださはれ、乗るべき車なくてえ参らずは、おのづから聞しめしつけて、賜はせもしてむ」

など、言ひ合はせて立てる前より、押しこりて、惑ひ出でて、乗り果てて、

「かうか」

と言ふに、

「まだし、ここに」

と言ふめれば、宮司寄り来て、

「誰々おはするぞ」

と問ひ聞きて、

「いと怪しかりけることかな。今は皆乗りたまひぬらむとこそ思ひつれ。こは、など、かう遅れさせ給へる。今は得選とくせん乗せむとしつるに、めづらかなりや」

など、驚きて寄せさすれば、

「さは、まづ、その御心ざしあらむをこそ、乗せ給はめ。次にこそ」

と言ふ声を聞きて、

「けしからず、腹ぎたなくおはしましけり」

など言へば、乗りぬ。

その次には、誠に御厨子みづしが車にぞありければ、火もいと暗きを笑ひて、二条の宮に参り着きたり。

御輿みこしは、疾く入らせ給ひて、しつらひ居させ給ひけり。

「ここに呼べ」

と、仰せられければ、

「いづら、いづら」

と、右京、小左近などいふ若き人々待ちて、まゐる人ごとに見れど、なかりけり。

下るるに従ひて四人づつ、御前にまゐり集ひて侍ふに、

「あやし、なきか。いかなるぞ」

と、仰せられけるも知らず、ある限り下り果ててぞ、辛うして見つけられて、

「さばかり仰せらるるには、などかく遅くは」

とて、ひき率て参るに、見れば、いつの間に、かう年ごろの御すまひのやうに、おはしましつきたるにか、と、をかし。

「いかなれば、かう、なきかと尋ぬばかりまでは見えざりつる」

と、仰せらるるに、ともかくも申さねば、諸共に乗りたる人、

「いとわりなしや。最果さいはての車に乗りて侍らむ人は、いかでか、疾くは参り侍らむ。これもほとほとえ乗るまじく侍りつるを、御厨子みづしがいとほしがりて譲りて侍るなり。暗かりつるこそ、わびしかりつれ」

と、笑ふ笑ふ啓するに、

「行事する者の、いとあやしきなり。また、などかは、心知らざらむ人こそはつつまめ、右衛門などは言へかし」

と、仰せらる。

「されど、いかでかは、走り先立ち侍らむ」

など言ふも、かたへの人、にくしと聞くらむかし。

「さまあしうて、高う乗りたりとも、かしこかるべき事かは。定めたらむさまの、やむごとなからむこそよからめ」

と、ものしげに思し召したり。

「下り侍るほどの、いと待ち遠に苦しければにや」とぞ、申しなほす。

 

【意味】

定子さまが二条宮に行く夜、牛車(乗り物)に乗る順番が決まっていなかったので、女房たちは皆

女房たち「私が先、私が先」

と騒いでいた。

とても見苦しい光景だ。

私(清少納言)と同じように見苦しく感じている人と、この車に乗る時の騒がしい様子は、祭りの翌日に帰る行列のようだ。

倒れてしまうのではないかと思うほど見苦しいと話し、

「成り行きに任せましょう。乗れる車がなくて二条宮に参上できなかったら、定子さまがそれを聞いて車を寄越してくださるでしょう」

と言っていた。

その前を他の女房たちは押し固まり、ごった返して乗って行ったから、みんな車を乗り終えて、

中宮職の役人(妃に関わる事務などを扱う役人)「これで終わりですか?」

と言ったため、

女房「まだ、ここにいます」

と答えると、役人が近寄ってきて

役人「誰がいらっしゃるんですか?」

と聞いてきて、

役人「おかしなことですね、みんな乗ったと思っていました。

どうしてこんなに遅れてしまったのですか?次は得選(雑事を行う女官)を乗せようとしていたのに。おかしなことですね」

と驚いて車を寄せさせたため、

女房「それなら、まず先に乗せようとしていた方を乗せてください。私たちはその次で」

と言うと、

役人「意地悪ですね」

と言ったため、私たちは乗った。

その次は本当に女官だったから、灯りが暗いのを笑いながら、二条宮に到着した。

定子さまの乗り物は早く着いていて、部屋を整えて座っていらっしゃった。

定子「清少納言をここに呼んで」

とおっしゃられたので、

右京、小左近といった若い女房「清少納言はどこ?どこ?」

と私(清少納言)を待って、車から降りて参上した人たちをその度に見たけれど、清少納言の姿はなかった。

車から降りると、4人ずつ定子さまの前に参上して集まっていたけれど、

定子「おかしいわ、いないの?どうしたのかしら?」

と心配しておっしゃっていたのも知らず、女房全員が車から降りきった後にやっと見つけられて、

若い女房「定子さまが、あんなにおっしゃっているのに、どうしてこんなに遅いんですか?」

と言って、私を引っ張って定子さまの前に参上した。

周りを見ると、

清少納言「いつの間に長年暮らした住まいのように落ちつているのかしら」

と思って面白かった。(清少納言が来るまでに、部屋を整理し終えていたから)

定子「どうして、こんなに『どこにいるの?』と尋ね歩くほど姿を見せなかったの?」

とおっしゃったが、私が理由を申し上げなかったので、同じ車に乗ってきた女房が、

同乗の女房「とても酷かったんです。最後の車に乗ってきたので、どうして早く参上することができるでしょうか?

その車も乗れそうになかったのですが、女官の人が気の毒に思って車を譲ってくれたのです。暗くなっていたので心細く思いました」

と笑いながら申し上げたところ、

定子「車の担当の役人がいけないのね。

事情を知らない人は遠慮するでしょうけれど、右衛門(清少納言と同乗した女房)であれば、はっきりと苦情を言えばよかったのに、どうして?」

とおっしゃいました。

同乗の女房「我先にと走って乗ろうとするのもいかがなものでしょう?」

と言ったから、近くにいる女房たちは、憎たらしいと思って聞いているでしょう。

定子「見苦しく争って格式の高い車に乗ったとしても、それで偉くなれるわけではないわ。決められた順番通りに、序列を乱さないのが良いのよ」

と、不快に思っていらっしゃる。

清少納言「車から降りるまでの間が待ち遠しくて辛いから、早く乗ろうとするのでしょうね」

と、申し上げた。

 

「清少納言がいない!」と探す定子が可愛すぎますよね♡

そして、「自分がいないと分かったら車を寄越してくれる」と、自分が定子から愛されていることを清少納言が分かっているエピソードでもあります。

 

清少納言は他にも、『枕草子』の中で、

「定子の前に女房たちがたくさん座っていて、遅れてきた清少納言が柱のそばに座っている時。

定子が見つけてくれて『こちらへ』と近くに招き入れてくれたのはとても嬉しい」

と書いています。

定子は常に清少納言を自分の近くに置いておきたかったんですね♡

 

⑤定子を深く理解(香炉峰の雪こうろほうのゆき

他の女房が理解できなかったことを、清少納言が理解したというエピソードです♡

雪が積もったある日

定子香炉峰こうろほう(中国にある山)の雪はどうなってるかしら?」

清少納言は格子(現代の雨戸のようなもの)を上げさせ、御簾みす(屋外と部屋を仕切るすだれ)を高く上げた

中国の詩人・白居易はくきょいの一節を再現(意味は以下で解説)

定子が思った通りの事をしたため、感心された

超訳:定子「中国の山の雪が見たいな〜♪」

他の女房たち「(心の中で)中国の山の雪をどうやって見るんだ?」

清少納言「白居易が、香炉峰の雪は簾をかかげて見るって書いてた!ってことで、簾あげよ〜」

定子「清少納言ピンポ〜ン♪」

白居易はくきょいの一節とは?】

遺愛寺いあいじの鐘は枕をそばだてて聴き、香炉峰の雪はすだれをかかげて看る」

  • 遺愛寺→香炉峰(中国にある山)の北方にあった寺
  • そばだてる→枕から頭を上げて、耳を澄ますこと

 

中国の雪は日本からは見えないが、清少納言は「簾をかかげて見る」を再現

原文と詳しい意味

雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子みこうしまゐりて、炭櫃すびつに火おこして、物語などして集まりさぶらふに、

「少納言よ、香炉峰の雪いかならむ」

と、おほせらるれば、御格子上げさせて、御簾みすを高く上げたれば、笑はせ給ふ。

人々も、

「さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそ寄らざりつれ。なほ、この宮の人には、さべきなめり」

と言ふ。

 

【意味】

雪がめちゃくちゃ降り積もっているとき、いつもと違って格子を下ろしたままで、いろりに火を起こして女房たちと集まって話していたら、

定子「清少納言、香炉峰の雪はどんなかしら?」

と、おっしゃったので、女官に格子を上げさせて、御簾を高く上げたところ、定子さまがお笑いになった。

周りの女房たちも、

女房「その文言(白居易の香炉峰の雪)は知っていて、歌にも詠むけれど、謎かけだとは思いもよらなかったわ。

やっぱり定子さまに仕えるなら、そうあるべき(清少納言のように対応すべき)でしょうね」

と言う。

 

私はこのエピソードを知った時、「へ〜頭良いな〜」くらいにしか思わなかったのですが、『枕草子』で有名なエピソードだそうです!

清少納言と定子は話のレベルが高い基準で合っていて、清少納言が定子をよく理解していることがうかがえるエピソードですよね♪

ねこ先輩
ねこ先輩
清少納言はもちろん頭良いけど、定子も知識が豊富だったんだって 

 

⑥早く戻ってきなさい

他の女房たちに嫌がらせをされて清少納言が里帰りした際、定子が「早く戻ってきなさい」と手紙を書いたエピソードです♡

時の権力者・藤原道長(柄本佑)は、定子の兄・伊周と権力争いの末、勝利

道長の圧力により、後ろ盾がいなくなった定子の周りから人が離れていった

清少納言と親しく文のやり取りをしていた藤原斉信ただのぶ(金田哲)は道長側の人間

【藤原斉信ただのぶとは?】

一条天皇時代に活躍した4人の公卿(上級の家来)「一条朝の四納言」の1人で、道長の腹心。


清少納言は定子の女房たちに「道長側のスパイ」と思われ、無視や嫌がらせを受け、しばらく里帰りをした

ある日、定子から

  • 「早く参上しなさい(戻っておいで)」という手紙(代筆)
  • 白い紙

が届く

以前、清少納言は全てが嫌になってこの世を去りたくなった時、

  • 真っ白な紙

があれば、もう少し生きてもいいと思うと話していたため

清少納言は嬉しくて、「1000年も長生きできそうです!」と返事を出す

2日後、今度は素晴らしい畳が届いた

その後も何度も定子から手紙が届いたが、女房たちからのイジメが嫌で、返事も返せなかった

定子から手紙が届かなくなったある時、

  • 手紙自体は白紙
  • 「口には出さないけれど清少納言のことを思っていますよ」と書かれた花びら(定子直筆)

が届く

清少納言は定子のもとに戻る!

超訳:清少納言は政敵・道長のスパイと疑われ、実家に帰る

定子「あなた真っ白な紙と畳が好きなんでしょ?届けるから早く戻ってきなさい(*^^*)」

清少納言「嬉しい!!でも・・・」

定子「口には出さないけれど、あなたのことを思っていますよ(*^^*)」

清少納言「戻ります!!」

原文と詳しい意味

御前にて、人々とも、また、ものおほせらるるついでなどにも、

「世の中の腹立たしう、むつかしう、片時あるべき心地もせで、ただ、いづちもいづちも行きもしなばやと思ふに、ただの紙のいと白う清げなるに、よき筆、白き色紙、陸奥紙みちのくがみなど、得つれば、こよなうなぐさみて、さはれ、かくてしばししも生きてありぬべかんめり、となむおぼゆる。また、高麗縁こうらいばしむしろ青うこまやかに厚きが、縁の紋へりのもんいとあざやかに黒う白う見えたるを、引きひろげて見れば、何か、なほこの世は、さらにさらにえ思ひ捨つまじと、命さへ惜しくなむなる」

と申せば、

「いみじくはかなき事にも慰むなるかな。姥捨山おばすてやまの月は、いかなる人の見けるにか」

など、笑はせたまふ。

さぶらふ人も、

「いみじうやすき息災の祈りななり」

など言ふ。

さて後、ほど経て、心から思ひ乱るることありて里にあるころ、めでたき紙二十を包みて、たまはせたり。

仰せごとには、

「とくまゐれ(とくまいれ)」

など、のたまはせて、

「これは、聞しめしおきたることのありしかばなむ。わろかめれば、寿命経も、え書くまじげにこそ」

と、仰せられたる、いみじうをかし。

思ひ忘れたりつることを、思しおかせ給へりけるは、なほただ人にてだに、をかしかべし。

まいて、おろかなるべき事にぞあらぬや。

心も乱れて、啓すべきかたもなければ、ただ、

「かけまくも かしこき神の しるしには 鶴のよはひと なりぬべきかな

あまりにや、と啓せさせ給へ」

とて、まゐらせつ。

台盤所だいばんどころ雑仕ぞうしぞ、御使には来たる。

青き綾の単衣ひとえ取らせなどして、まことに、この紙を草子そうしに作りなど持て騒ぐに、むつかしき事も紛るる心地して、をかしと心の内にもおぼゆ。

二月ばかりありて、赤衣あかぎぬ着たる男、畳を持て来て、

「これ」

と言ふ。

「あれは誰そ。あらはなり」

など、物はしたなく言へば、さし置きていぬ。

「いづこよりぞ」

と問はすれど、

「まかりにけり」

とて、取り入れたれば、ことさらに御座ござといふ畳のさまにて、高麗など、いと清らなり。

心の内には、さにやあらむなんど思へど、なほおぼつかなさに、人々出だして求むれど、失せにけり。

怪しがり言へど、使のなければ言ふかひなくて、所違へところたがえなどならば、おのづからまた言ひに来なむ。

宮の辺に案内しに参らせまほしけれど、さもあらずは、うたてあべしと思へど、なほ、誰かすずろにかかるわざはせむ。

仰せごとなめりと、いみじうをかし。

二日ばかり音もせねば、疑ひなくて、右京の君のもとに、

「かかる事なむある。さる事や、けしき見給ひし。忍びて有様のたまへ。さる事見えずは、かう申したりともな散らし給ひそ」

と言ひやりたるに、

「いみじう隠させ給ひし事なり。ゆめゆめまろが聞えたると、な口にも」

とあれば、さればよと思ふもしるく、をかしうて、文を書きてまたみそかに御前の高欄に置かせしものは、惑ひけるほどにやがてかけ落として、御階みはしの下に落ちにけり。

殿などのおはしまさで後、世の中に事出で来、騒がしうなりて、宮もまゐらせ給はず、小二条殿こにじょうどのといふ所におはしますに、何ともなく、うたてありしかば、久しう里に居たり。

御前わたりのおぼつかなきにこそ、なほえ絶えてあるまじかりける。

右中将うちゅうじょうおはして、物語し給ふ。

「今日、宮にまゐりたりつれば、いみじう、物こそあはれなりつれ。女房の装束、唐衣からぎぬ、折にあひ、たゆまで候ふかな。御簾のそばのあきたりつるより見入れつれば、八、九人ばかり、朽葉の唐衣、薄色の裳に、紫苑、萩など、をかしうて居並みたりつるかな。御前の草のいと茂きを、『などか。かきはらはせてこそ』と言ひつれば、『ことさら露置かせて御覧ずとて』と、宰相の君の声にて答へいらえつるが、をかしうもおぼえつるかな。『御里居おんさとい、いと心憂し。かかる所に住ませ給はむほどは、いみじき事ありとも、必ず候ふべきものに思し召されたるに、甲斐なく』と、あまた言ひつる。語り聞かせ奉れ、となめりかし。参りて見給へ。あはれなりつる所のさまかな。たいの前に植ゑられたりける牡丹などのをかしきこと」

など、のたまふ。

「いさ、人の憎しと思ひたりしが、また憎くおぼえ侍りしかば」

と、答へ聞ゆ。

「おいらかにも」

とて、笑ひ給ふ。

げにいかならむと、思ひ参らする。

御気色にはあらで、さぶらふ人たちなどの、

「左の大殿方おおとのがたの人、知る筋にてあり」

とて、さし集ひ物など言ふも、下より参るを見ては、ふと言ひ止み、放ち出でたるけしきなるが、見ならはず、にくければ、

「参れ」

など、たびたびあるの仰せ言をも過して、げに久しくなりにけるを、また、宮の辺には、ただあなた方に言ひなして、虚言なども出で来べし。

例ならず仰せ事などもなくて日頃になれば、心細くて打ちながむる程に、長女おさめ、文を持て来たり。

「御前より、宰相の君して、忍びて賜はせたりつる」

と言ひて、ここにてさへひき忍ぶるもあまりなり。

人づての仰せ書きにはあらぬなめりと、胸つぶれてとく開けたれば、紙には物も書かせ給はず、山吹の花びらただ一重を包ませたまへり。

それに、

「言はで思ふぞ」

と書かせ給へる、いみじう、日ごろの絶え間嘆かれつる、皆慰めて嬉しきに、長女もうちまもりて、

「御前には、いかが、物のをりごとに思し出で聞えさせ給ふなるものを。誰も怪しき御長居とこそ、侍るめれ。などかは参らせ給はぬ」

と言ひて、

「ここなる所に、あからさまにまかりて参らむ」

と言ひていぬる後、御返事書きて参らせむとするに、この歌の本、更に忘れたり。

「いとあやし。同じ故事ふることと言ひながら、知らぬ人やはある。ただここもとにおぼえながら、言ひ出でられぬは、いかにぞや」

など言ふを聞きて、小さき童の前に居たるが、

「下行く水、とこそ申せ」

と言ひたる。

など、かく忘れつるならむ、これに教へらるるも、をかし。

御返り参らせて、すこしほど経て参りたる、いかがと、例よりはつつましくて、御几帳ごきちょうにはた隠れてさぶらふを、

「あれは新参か」

など、笑はせたまひて、

「にくき歌なれど、この折は、さも言ひつべかりけりとなむ思ふを。おほかた見つけでは、しばしもえこそ慰むさむまじけれ」

など、のたまはせて、かはりたる御気色もなし。

 

【意味】

定子さまの前で他の女房たちと話したり、定子さまが話されたりしている時、

清少納言「世の中が腹立たしくて嫌になって、生きていたくなくて、どこでもいいからどこかに行ってしまいたいと思った時、

  • 上等な筆
  • 白い色紙
  • 陸奥紙(上質の和紙の一種)

などが手に入ったら、この上なく慰められ、とりあえずしばらく生きていてもいいと思えてしまいます。

また、高麗縁の筵(畳の縁の一種)が青く細かく暑く編んでいて、縁の紋が鮮やかに黒く白く見えているのを広げてみた時・・・

やっぱりこの世には絶対思い捨てることができないと思い、命が惜しくなってしまいます」

と申し上げると、

定子「そんなにちょっとしたことで慰められるのね。姥捨山の月は、どんな人が見たのかしら?

(姥捨山の月は古今和歌集の「わが心 慰めかねつ 更級や 姨捨山に 照る月を見て」のこと。

意味:私の心を慰めることはできません。長野の姥捨山の月を見ていたら

定子は「姥捨山の月を見ても慰められない人がいるのに、白い紙と畳だけで慰められる人もいるのね〜」と冗談を言った)」

などとお笑いになった。

周りの女房たちも、

女房たち「とても簡単な息災の祈りのようね」

などと言った。

その後、しばらくして深く思い悩むことがあったため、実家に戻っていた頃、定子さまから素晴らしい20枚の紙が届いた。

手紙には、

定子「早く戻ってきなさい」

などと書かれていて、

定子「この紙は前に聞いたことがあったから、届けたのです(前述の、清少納言が紙があれば生きられると言っていたから)。

あまり上質な紙ではないから、長寿を祈るためのお経も書けないでしょうけど」

と書いてあって、とても良いものだ。

言った自分でさえ忘れていたことを覚えてくださっていたなんて、普通の人でも良いと思うのに、まして定子さまなのだから疎かに思うなんてできない。

気持ちが動転して返事の方法も思いつかないため、ただ、

清少納言「『畏れ多い紙(神)のおかげで、鶴のように1000年も長生きできそうです』あまりに大げさでしょうか?とでも思ってお受け取りください」

と書いて返事を出した。

食事係の女性の召使いが、使いとして来ていたので、青い模様の着物をご褒美として与えて帰らせた。

その後、実際にこの紙で冊子を作ったりして騒いでいたら、嫌な気持ちも紛れるような気がして、面白ものだわと心の中で思っていた。

その2日後、赤い服を着た男性が畳を持ってきて、

赤い服の男性「これを」

と言う。

清少納言「あれは誰?無遠慮だわ」

と素っ気なく言ったため、そのまま畳を置いて行ってしまった。

「どこから来た畳ですか?」

と尋ねさせたが、

「帰ってしまいました」

と言われたため、部屋に運び込んだら、御座という畳(薄い畳)で、高麗縁(畳の縁の一種)がとてもキレイだった。

心の中では定子さまからの贈り物だろうと思っていたけれど、やっぱりハッキリしない。

そのため、使いの者を出して畳を届けてくれた男性を探させだが、いなくなっていた。

不思議ではあるが、使い(畳を届けてくれた男性)がいないのでどうしようもないし、届け先を間違ったのであれば、相手から言ってくるだろう。

定子さまに確認するための使者を送りたいけれど、間違いだったら恥ずかしい。

一体誰が理由もなくこんなことをするのだろう?

定子さまが命令したことだろうけど、すごく面白い。

それから2日ほど音沙汰がなかったので、(届け先を間違えたのではなく)定子さまからの贈り物に間違いないと思い、右京の君(年下の女房)に、

清少納言「このようなこと(畳のこと)がありました。そんな様子を見ましたか?こっそり様子を聞かせてください。

もしそういう様子がなかったのであれば、私がこの手紙を書いたことさえ忘れてください(恥ずかしいから)」

という手紙を出したところ、

年下の女房「定子さまが隠していたことなのです。そのため、私が申し上げたことは言わないでください」

と返事が来たので、やっぱり思った通りだ、とおかしくなり、定子さまに手紙を書いて、こっそり定子さまの屋敷の手すりに置かせた。

しかし使いの者が慌てていたため、手紙を下に落としてしまい、階段の下まで落ちてしまったそうだ。

藤原道隆さま(定子の父)が亡くなった後、世間では変化が起こって情勢が騒がしくなっていた。

定子さまも宮中ではなく、小二条殿という邸宅にいらっしゃった。

私(清少納言)は特別な理由はないが、何となく嫌な気分だったから、長い間里帰りをしていた。

しかし、定子さまの周辺が落ち着かない状況だったので、そのまま実家にいるわけにはいかなかった。

右中将(源経房みなもとのつねふさ・後に『枕草子』を世に広めた人)が来て、雑談をした。

源経房「今日、定子さまの所に行ったら、寂しくされている様子でした。女房たちは秋らしい裳や唐衣(服)を着て、きちんとした様子で仕えていました。

御簾の横の開いているところから覗くと、8~9人ほど、

  • 朽葉の唐衣(茶色の服)
  • 薄紫色の裳(十二単のポイントになる部分)に、紫苑(淡い紫)や萩(ピンクっぽい紅)

など、色とりどりのキレイな衣装を着て並んで待っていました。

お庭の草が生い茂っているので、

『どうして手入れしないのですか?刈り取ればいいのに』

と言うと、

『草に降りた露を眺めたいと定子さまがおっしゃるから、わざとこうしているのですよ』

と、宰相の君(定子の女房の1人)が答えたのが風情があると思いました。

『清少納言が里帰りしていることが、とても悩ましいのです。

こんな所に住まなければいけないような大変なときには、どんな事があっても必ず清少納言がそばにいてくれると定子さまは思っていたのに、その甲斐もなく清少納言はいないのです』

と、大勢の女房たちが言っていたので、あなた(清少納言)に私(源経房)から言ってほしいということなのでしょう。

参上して定子さまを見てみてください。とても寂しいご様子ですから。台の前に植えられている牡丹などが素敵で・・・」

などとおっしゃった。

清少納言「みんな(周りの女房)が私のことを憎らしいと思っているので、私もみんなが憎らしいと思ってしまいました」

と答えると、

源経房「気楽ですね」

と笑った。

本当に定子さまはどうされているのだろうと思っていた。

長い里帰りでも定子さまが私を不快だと思っている様子はない。

しかし、仕えている女房たちが、

女房たち「清少納言は左大臣(藤原道長)派の人たちと親しいのよ」

と、みんなで集まって話している時も、私が参上してくるのを見ると、急に話すのを止めて私を仲間外れにする様子が、経験したことがなくて嫌だった。

定子さまから

「戻ってきなさい」

と何度も言われているのに、それに応えられずに参上できないまま、長い時間が過ぎてしまった。

そして、定子さまの周辺では、私(清少納言)が左大臣(藤原道長)側についてしまったという事実無根な作り話まで出てきてしまった。

いつもと違い、手紙がない日が何日も続いたため、心細い気持ちでぼんやりしていたところ、長女(下級女官)が手紙を持ってきた。

下級女官「定子さまが宰相の君(定子の女房の1人)に命じて、こっそり届けさせた手紙です」

と言って、ここに来ている今でさえ、人目を忍んでいるのはあんまりだ。

代筆ではない直筆の手紙だろうと、胸をドキドキさせながら急いで開けたところ、手紙には何も書かれておらず、山吹の花びらが1枚包まれていた。

その花びらには、

「言はで思ふぞ(口には出しませんが、あなたのことを思っていますよ)」

と書かれていて感激した。

その心遣いで、この何日間か手紙がなかった悲しい気持ちも全て慰められて嬉しい気分になった。

そんな様子を下級女官も見守っていて、

下級女官「定子さまは何かにつけ、あなた(清少納言)のことを思い出していらっしゃるそうです。

他の女房たちも、どうしてこんなに長く里帰りしているのかと不思議に思っています。どうして参上しないのですか?」

と言い、

下級女官「この近所に少し寄ってから、またこちらに伺います」

と言って去った後、その間に定子さまへの返事を書こうとしたところ、定子さまが贈ってくれた「言はで思ふぞ」の上の句をすっかり忘れてしまっていた。

清少納言「とても不思議なこともあるものだ。こんなに有名な歌を知らない人がいるだろうか?

もうここまで上の句が出てきているのに口から出てこないなんて、どういうことでしょう」

と言うのを聞いていた、前に座っていた小さい女の子が、

小さい女の子「上の句は『下行く水』ですよ」

と言った。

どうしてこんなに忘れてしまっていたのでしょう。

こんな小さい子どもに教えられるのは、おかしなことですね。

返事を出してから少し日にちが経ってから参上した。

「その後、どうなっただろう?」と、いつもより気後れしてしまい、御几帳(仕切り)に半分隠れて待っていた私を見て、

定子「あそこにいるのは新人かしら?」

などと笑って、

「あの歌(言はで思ふぞ)は特に好きな歌ではないけれど、このような時にはふさわしいと思ったの。

大体あなた(清少納言)が側にいないと、少しも心が慰められないの」

とおっしゃって、定子さまが前と変わっている様子はなかった。

 

定子にとって清少納言がなくてはならない存在であることが分かるエピソードで大好きです♡

紙や畳といった贈り物はもちろん、「口には出しませんが、あなたのことを思っていますよ」という花びらが1番の宝物ですよね(><)

 

⑦あなたは私の気持ちを分かってくれる

定子が落ち込んでいる時、清少納言だけが定子の気持ちを分かってあげたというエピソードです♡

時の権力者・藤原道長(柄本佑)は、娘・彰子(見上愛)を一条天皇に嫁がせていた

定子は一条天皇に寵愛され、第三子を身ごもってはいたが、

  • ただ1人の妃という立場を失う
  • 自分には父(藤原道隆)という後ろ盾がいない
  • 天皇がいる内裏だいりとは別の場所に住んでいたから、なかなか会えない

という状況

端午の節句(現・こどもの日)で、みんながワイワイしている中

清少納言は定子に「青ざし(青麦の粉で作られたお菓子)」を渡す

意味:手の届かない恋をしている歌を連想させる=一条天皇になかなか会えない定子の気持ちを理解している(下記で解説)


定子は「みんなが浮かれている日に、あなたは私の気持ちを分かってくれる」と和歌で返事

超訳:清少納言「定子さま元気ない。どうやって慰めれば…

そうだ!お菓子なら食べやすそうだし、定子さまを思っている私の気持ちも伝わる!」

定子「あなただけは、私の気持ちを分かってくれるわ。。。」

【ませごしが連想させる歌とは?】

清少納言は「端午の馬ではありませんが、『ませごし』を差し上げます」と言い、「青ざし」を渡したため、

  • ませごし
  • 青ざし=麦(の粉で作られたお菓子)
  • 端午の馬=駒

となり、

「ませごしに 麦はむ駒の はるばるに 及ばぬ恋も 我はするかな」(古今和歌六帖)

が連想される。

意味:垣根越しに麦を食べる馬が少ししか食べられないように、私も手の届かない恋をしている

=定子が一条天皇を想う気持ち

ねこ先輩
ねこ先輩
定子は一条天皇に愛されてるけど、今はなかなか会えない状況だから、手が届かないってことだね

 

【定子が返した和歌】

皆人の 花や蝶やと いそぐ日も わが心をば 君ぞ知りける

意味:みんなが端午の節句に夢中になっている中、あなたは私の気持ちを分かってくれた

原文と詳しい意味

三条の宮におはしますころ、五日の菖蒲しょうぶ輿こしなど持て参り、薬玉参らせなどす。

若き人々、御匣殿みくしげどのなど、薬玉して姫宮、若宮に着け奉らせ給ふ。

いとをかしき薬玉ども、ほかより参らせたるに、青ざしといふ物を持て来たるを、青き薄様を艶なる硯の蓋に敷きて、

「これ、ませごしにさぶらふ」

とて、参らせたれば、

皆人の 花や蝶やと いそぐ日も わが心をば 君ぞ知りける

この紙の端を引き破らせ給ひて書かせ給へる、いとめでたし。

 

【意味】

三条の宮に定子さまがいらっしゃった頃、5月5日は菖蒲の輿(端午の節句で使われる、菖蒲を乗せた小さい神輿のこと)などを持って参上する。

そして、薬玉(端午の節句で飾られる魔除けの道具)を献上したりする。

若い女房たちや、御匣殿(定子の妹)たちは、薬玉を

  • 姫宮(定子の第一子・脩子内親王しゅうしないしんのう
  • 若宮(定子の第二子・敦康親王あつやすしんのう

のお着物に付けてあげている。

とても素敵な薬玉が色々なところから献上されて、青ざし(麦の粉で作られたお菓子)というものも持ってきた。

青色の薄い紙をオシャレな硯箱(すずりや筆、墨などを入れておく箱)の蓋に敷き、その上に青ざしを乗せて

清少納言「これが『ませごし』でございます」

と申し上げて定子さまに見せたら、

定子「みんなが花や蝶やと浮かれている日も、あなたは私の気持ちを分かってくれるのね」

と、その青色の薄い紙を破ってお書きになったのが、とても素晴らしい。

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みんなが楽しんでいる中、自分は辛いというのは、結構キツいものですよね。。。

ねこ先輩
ねこ先輩
妊娠中だから悪阻とかもあったかもだし。。。

 

そんな中、ガッツリ「定子さま大丈夫ですかーーー!?」と騒ぎ立てず、さり気なく心遣いをする清少納言がめちゃくちゃ素敵です(><)

定子も「あなただけは・・・」と嬉しかったでしょうね(><)

 

⑧他の人には仕えない

定子は1001年、第三子を出産した直後、24歳という若さで亡くなりました。

定子が亡くなった後、清少納言は誰の女房にもならず、宮中を去りました

 

清少納言は、

友人の歌人・和泉式部いずみしきぶ赤染衛門あかぞめえもんは、藤原道長の娘・彰子の女房になった

清少納言と親しく、文のやり取りをしていた藤原斉信は道長側の人間

定子のサロンを盛り上げた看板女房であり、教養もある

ため、藤原道長の娘・彰子の女房になってもおかしくないのに、道長側につくことはなく、宮中を去ったのです。

【サロンとは?】

宮中の特定の集団のこと。

定子や彰子などの高貴な女性を中心として仕える女性が集まって知的な会話を楽しみ、それが「サロン」と呼ばれた。

 

定子が亡くなった当時、清少納言はまだ35歳で引退する歳ではないのに、定子以外には仕えないってカッコよすぎますよね!!

清少納言が定子のことをどれだけ大切に思っていたか分かります(><)

ねこ先輩
ねこ先輩
「私の姫様は定子さまだけ!」って感じだったのかな(><)

 

その他

清少納言と定子の百合っぽさが濃いエピソードは前述の通りですが、まだまだ2人のエピソードはあります!

簡単にまとめると、

といったエピソードがあります♪

 

詳しくはこちらの記事でまとめています(*^^*)

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本記事でご紹介したエピソードは定子→清少納言が多めでしたが、実際は『枕草子』内で清少納言が定子を絶賛しているエピソードも多いです!

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藤原定子と藤原彰子の関係を家系図で紹介!仲は悪かった?【光る君へ】今回は、藤原定子と藤原彰子の関係を家系図で紹介!仲は悪かった?【光る君へ】と題してお届けします。 2024年に放送予定の吉高由里子...

 

まとめ

本記事では、清少納言と定子は百合?関係やエピソードを紹介!【光る君へ】と題して詳しくご紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか?

定子には一条天皇という夫がいて寵愛されていましたので、清少納言と百合の関係ではありませんが、お互いに信頼しており主従関係以上の絆があったと思われます!

『光る君へ』で高畑充希さんとファーストサマーウイカさんがどのエピソードを演じられるのか楽しみですね♡

それでは、清少納言と定子は百合?関係やエピソードを紹介!【光る君へ】を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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